MSB
水なし洗車ビジネス
代表
日野 康博
ひの やすひろ
誕生秘話
- 初期投資は小額、店舗不要、在庫抱えずの夢のビジネスモデルは無いのか
- 資金が無いとダメなのか
- 水を使わない洗車にチャレンジ
- またもや壁が・・・ 水無し溶剤は洗車キズがつく
- 新溶剤の開発へ
- 湿式洗車方式の確立
- 水なし洗車ビジネスの先駆者として
初期投資は少額、店舗不要、在庫抱えずの夢のビジネスモデルは無いのか
みなさんこんにちは。MSB(水なし洗車ビジネス)の代表の日野康博です。
このビジネスをはじめたきっかけはレストランで食事をしているときに、「食事をしている間に駐車場で洗車してくれていたら便利だよな。」というアイデアがふと降りてきたことから始まりました。
私は当時サラリーマンでしたが、それからというもの、どうやって事業を立ち上げようかと真剣に考えるようになったのです。
資金が無いとダメなのか
お金の無い私が事業を行うためには、イニシャルコストをできる限り抑え、かつ、ランニングコストも固定費も在庫リスクも必要ないビジネスを選択するしかありませんでした。
しかしながら、そのような都合の良いビジネスがそうそう世の中に転がっているほど甘くないのも事実です。
洗車するには水を大量に使用するので、駐車場で洗車をする場合、鍵を預かって洗車スペースに移動させなくてはなりません。
洗車用の機材にかかる費用や洗車スペースの確保にかかるお金、車を運転するスタッフの確保に伴う人件費・保険料など様々な費用が発生するばかりか、環境問題まで考えなくてはなりません。
環境問題とは、洗車後の排水をどこでも好き勝手に流すことができないため、排水設備を整えなくてはならなくなるのです。
駐車場には水道が無いのはもちろん、排水設備すらありませんので、洗車をする場合、水道工事を含む大掛かりな投資が必要になってしまいます。
そう考えると、私の事業構想自体が「やはりそもそも資金が無ければ無理なのだ」と絵空事のように思えてきたのでした。
水を使わない洗車にチャレンジ
あきらめず、情報を集めていると、アメリカには、私の構想と同じようなビジネスモデルがあることを発見しました。駐車場に止めている間に特殊な溶剤を用いて水を使わずに洗車するサービスです。
私はああ、これだ!と思いました。「水を使わないなら水道はいらないし、排水設備も不要だ。これなら多額の投資なくしてビジネスができる。」この情報は私を有頂天にしました。
そこで、さっそく私は海外の水無し洗車溶剤を数十種類輸入して性能を次々に試したのです。
またもや壁が・・・ 水無し溶剤は洗車キズがつく
私は輸入した洗車溶剤が届くや否や、心浮き立ちながら洗車を試しました。
結果は上々、洗車のみならずワックスも同時にかかるのです。「水無しでも綺麗になるぞ、すごい!」と喜びました。これで、すべて問題が解決したように思えたのです。
ところが、数日後重大なことに気が付きました。その日は雲一つ無い、いい天気でした。
ふとボンネットを見ると太陽の光が反射する周りに細かい傷が無数に見えます。
どうやら洗車を試した私の車に洗車キズがついているのです。
その後、輸入した溶剤のみならず、日本製も含めたあらゆる溶剤を試してみましたが、やはり洗車キズがついてしまうことに変わりはありませんでした。
これでは事業向けにサービスとして展開することは不可能です。
日本で洗車キズがつく洗車サービスなどやったら、それこそあっという間にアウトです。
アメリカでビジネスになっているのは、きっと日本人とアメリカ人の感覚の違いもあるのだろうと思いました。
そして、同時に私の計画もついにお終いになってしまうに違いないと思い、目の前が真っ暗に感じました。
新溶剤の開発へ
「やっぱり日本でそんなビジネスはできないのかもしれない・・・。」日々、悶々としていたそんなとき、一人の救世主が現れました。
「日野さん、一緒に溶剤を開発してみませんか。」その声の主は、株式会社トップ・ギアの車社長でした。
開発がいかに難しく、大変かということはそのあとに分かることなのですが、その時は、その希望に満ちあふれた声に「まだ、何とかなるかもしれない」と勇気が湧いたのでした。
開発の際に最も重要視した点は、「洗車キズ」をつけないことです。
海外などで売られている水無し洗車溶剤は汚れたボディに直接噴霧し、乾いたクロスでそのまま拭き取ります。
これでは、どんなに溶剤の力が優れていても、汚れを引きずる形になってしまい、洗車キズの原因になります。
「水を使えば解決するのに、水に代わる特殊な成分は無いものか・・・・」
試作品が思うような成果を上げない中、頭の中は常にフル回転で答えを模索していました。
カフェでぼーっとしていたとき、突然フッとアイデアが湧きました。
「そうか、駐車場に停めたその場で洗車さえできればいいのだから、洗車にバケツ1杯程度の水は使ってもいいじゃないか。それならすぐ乾くし、何よりボディ表面にキズをつけない溶剤ができるかもしれない。」
そこで、最初からバケツ1杯の水を使用することを前提で溶剤開発を行うことにしました。水を大量に使った時と同じ状態を塗装表面で起こすことができればいいわけです。
実は、他の水無し洗車溶剤はエコロジー目的、またはエンドユーザーの簡易さを追求するコンセプトで製造されるため、水を全く使わないスタイルの洗車溶剤ばかりです。
業務用の洗車サービス用として、傷をつけないことをメインコンセプトに製造された洗車溶剤はMUSUI以外には無いのです。
あくまで、駐車場に止めたその場で洗車できればいいので、バケツ1杯の水を使うこと自体は特に問題にはならず、全く水を使わない洗車方法にこだわる必要がなかったのです。
溶剤には、さまざまなこだわりを反映しました。
例えば、
ムラが出にくい特徴をもつことで、誰が施工しても同じ品質が提供できるようにしたこと。
無色透明に近づけることで噴霧後の目地への噴霧跡が残らないようにし、作業工程を増やさないこと。
洗車と同時に光沢が出ること。
などです。
何度も繰り返し、サンプルに対するフィードバックを繰り返し、試作品の数は数十種類にも及びました。
私のこだわりがゆえ、何度もダメ出しを繰り返したので、開発チームの研究者の方は、「いい加減にしてくれ!!」と思っていたに違いありません(笑)
そうした紆余曲折を経て、ようやく水を使う水無し洗車溶剤が完成したのです。
湿式洗車方式の確立
洗車方法にも工夫が必要でした。
サービスとして提供する以上、時間がかかっては人件費に跳ね返り、儲けが減ってしまうからです。
傷をつけずに手早く、そして美しくなければなりません。
洗車方法は誰も同じコンセプトでの洗車をやってない以上、教えてくれる人は誰もいません。
私たちは独自の工夫を重ねることで、できる限り早く、美しい洗車方法を編み出しました。
現在、私たちが教える「湿式洗車方式」は、お客様のお車に対して5000台以上の洗車サービスを実施、お客様の声を聞きながら、ご満足いただける技術を築き上げて参りました。
何気ない作業にも創意工夫の粋が詰まっています。
水なし洗車ビジネスの先駆者として
このビジネスモデル自体を知っている人は日本ではまだごくわずかです。
一方で、この洗車サービスは確実にニーズがあります。
人々の生活を楽に、豊かにする役割を担っていけるように、私たちは皆様とともに水なし洗車ビジネスの先駆者として精進してまいりたいと思います。